一体どれだけの人に刺さるか分かりませんが、自分の中で「へぇ~!」って思ったので共有したいと思います。
今回の記事は、こんな人に向けて書いています。

今回、正式な計算方法をベトナム人のAdminにじきじきに教えてもらったので、この記事を書いている2020年現在では確かな情報となります。
この記事では、ベトナムでの手取り給与の計算方法を、試用期間中、試用期間後で分けて解説しています。

ベトナムの現地採用の手取り給料の計算方法【実際の体験談】
そもそもベトナムにおいては、試用期間中と試用期間後で手取り給与額の計算方法が全く違います。
試用期間とは、入社して最初の2ヶ月のことです。
その間の給料は90%になるのが通例となっています。
僕も最初の2ヶ月は90%でした。
その後、正式な雇用契約を交わして、晴れて100%の給与が支払われるようになるわけです。
試用期間中と試用期間後。この2つの期間にフォーカスして説明していきます。
ベトナムの試用期間中の手取り給与の計算方法
ベトナムの試用期間中の給料は「提示給与×90%」になります。
そして、単純にこの「提示給与×90%」に一律10%のPersonal Income Taxを掛けて終わりです。
ベトナムの試用期間の手取り給与の計算方法は単純
「え?これだけ?」と思われるかもしれませんが、本当にそうです。
なぜかというと、以下のような理由があります。
- 2020年現在、外国人労働者も1.5%の健康保険を払わなければならないが、試用期間中は払わなくていい。
- PIT(個人所得税)が一律で10%なので、11,000,000VNDの基礎控除が…とか、累進課税が…等々のややこしい計算が発生しない。
ベトナムの試用期間中の手取り給与の計算例
現地採用のA子さん(25歳):Gross給与が35,000,000VND/月の場合を考えてみましょう。(約1,500USD=約160,000円)
まず、試用期間中なので給与のベースが90%となります。
35,000,000VND×90%=31,500,000VND
そして、そこから一律10%のPITが徴収されます。
31,500,000VND×(1-0.1)=28,350,000VND
計算の結果、最初の2か月間の試用期間中の給与は28,350,000VNDとなりました。
日本円にして、約13万円です。
ベトナムの試用期間後(正式契約)の手取り給与の計算方法
2ヶ月が過ぎ、正式雇用契約を締結した後になると、先ほどの試用期間中の計算とは打って変わって、めちゃくちゃめんどくさい計算方法になります。
実は、給与明細をもらう前に、自分でネットでさんざん手取り額の計算方法を調べて、先回りして計算してました。
しかし、思っていたよりもはるかに複雑な計算方法で見事に違っていました(苦笑)
というくらい複雑だったので、皆さんには正しい計算方法を分かりやすくシェアしていければと思います。
計算方法ですが、大枠としては、
- 健康保険を計算。
- 1を元に課税所得を計算。
- 2を元にPITを計算。
こんな感じで計算していきます。
健康保険を計算。
試用期間中に出てきた、現地採用のA子さん(25歳):Gross給与が35,000,000VND/月の場合で再度考えてみましょう。(約1,500USD=約160,000円)

単純にGrossの給料に1.5%をかけるのではなく、基準額(上限額)が用意されています。
それが32,000,000VND(2020年9月現在)→29,800,000VND(2020年10月現在)です。(2020年10月3日追記)
うちのAdminいわく、Covid19で引き下げになったそうです。
29,800,000VNDを上回る場合は、2,980万VNDが基準額となります。当然、2,980万VNDを下回る人は、その金額が基準額となります。
我々外国人は2,980万VNDを上回る場合が大半だと思いますので、基準額は2,980万VNDと覚えておけばいいと思います。(ただし、毎年この基準額は変化するので注意。)
実際の計算額
ですので、A子さんの健康保険額は
29,800,000VND×1.5%=447,000VND
447,000VND(日本円にして約2,200円)が、健康保険額となります。
課税所得を計算。
続いて、課税所得を計算していきます。

課税所得には、いろいろな控除が入ります。
その一つが基礎控除です。
基礎控除とは、誰でも一律で税金の計算対象から一定額控除を受けることで、税金額を安くできるという大変ありがたい制度のことです(笑)
そんなありがたい基礎控除ですが、ベトナムの基礎控除に関しては、以前までは900万VNDだったのが、2020年7月1日より1,100万VNDとなりました。
要するに、ベトナム政府はPITに関しては実質減税、我々にとってみては少々太っ腹になったというわけです。
詳しくは以下の記事から、ニュースが読めます。
基礎控除に加え、健康保険も控除対象になります。
実際の計算額
ということで、課税所得を以下の計算式を用いて計算していきます。
課税所得=(Grossの給与額:35,000,000VND)ー(基礎控除:11,000,000VND)ー(健康保険:447,000VND)
計算すると、23,553,000VNDという結果になります。
いよいよ、この計算結果を元にPITを計算します。
PIT(個人所得税)を計算。
PITの説明をする前に、以下の表を説明する必要があります。
課税所得(VND) | PIT税率 |
~500万 | 5% |
500万~1000万 | 10% |
1000万~1800万 | 15% |
1800万~3200万 | 20% |
3200万~5200万 | 25% |
5200万~8000万 | 30% |
8000万~ | 35% |
この表を見てどう思いますか?

って思いませんか?
例えば、A子さんの場合、23,553,000VNDなので20%!
だから23,553,000VND×20%=4,710,600VND!と計算するのは間違いです(自分と同じ過ちです)。
僕もここでつまづきました。
正しい計算方法は以下の通りです。
PITの実際の計算方法
税率が低い方から、課税所得のレンジごとに税金を計算してそれぞれの税額を足していくイメージです。
例えば、A子さん(課税所得:23,553,000VND)の場合、以下のような感じ。
0~500万VND:(500万VND-0VND)×5%=250,000VND
500万VND~1,000万VND:(1,000万VND-500万VND)×10%=500,000VND
1,000万VND~1,800万VND:(1,800万VND-1,000万VND)×15%=1,200,000VND
1,800万VND~23,553,000VND:(23,553,000VND-1,800万VND)×20%=1,110,600VND
全て足すと、3,060,600VNDとなります。
あれ?思ったより税金安かった
僕はずっと「自分の課税所得が当てはまるレンジを探して、単純にその税率をかける」と思っていました。
ですので、A子さんの例でいうところの、23,553,000VND×20%=4,710,600VNDと思っていたわけです。
しかし正しい計算方法で計算した結果、3,060,600VNDとなり、「思ったより税金安かった!」と歓喜しました(笑)
ベトナムの正式雇用契約締結後の手取り給与の計算例
ということで仕上げの計算をしていきます。
今分かっているのは以下の通り。
- Grossの給与額:35,000,000VND
- 健康保険:447,000VND
- PIT(個人所得税):3,060,600VND
これらを組み合わせて計算していきます。
計算式は、「手取り給与額=Grossの給与額ー健康保険ーPIT(個人所得税)」です。
(Grossの給与額:35,000,000VND)ー(健康保険:447,000VND)-(PIT:3,060,600VND)=31,492,400VND
はい!出ました!
31,492,400VNDがA子さんの正式雇用契約後の手取り給与額となります。
日本円にして、144,000円くらいです。
税金の計算方法は分かっておいた方がいい
いかがでしたか。
今回の税金の計算方法について教えてもらったのは、ベトナム人のAdminが給与計算を間違えていたことが発端でした。
- 明らかにPITが少なすぎだったので指摘したら、「間違えていたので再送します」とのこと。
- 再送されたものも自分の計算には合わなかったので、指摘したら今度はどうやら僕の認識が間違っているよう。
- 自分の中で納得したかったので、正しい計算方法を教えてくれと頼んだら快く教えてくれた。
結局、先述の通り、PITの計算方法を僕が誤認していたのですが、これでPITの計算方法は完璧です。
段階を踏んで計算していくことを理解すれば簡単だと思うので、皆さんもぜひ計算してみてください!